断片資料4
□□□□□全巻綴抄

勅願道場石垣山観音寺住僧
僧都補金光阿闍梨
南無阿弥陀佛 花押 一筆三礼謹書
正治元年六月十一日
人生五十年、乃ち夢と幻の如し。生有
りて斯ち死有り。将に何ぞ恨みん。
佛のたまわく、諸行無常、是生滅
法、生滅々已、寂滅爲楽と。歳
月は人を待たず、一寸光陰も輕ず
べから不。身を□て道を行ひ名を
後世に揚ぐもよし、亦父母に孝し
子を育て、夫婦和にして世間睦ま
じく、当に寸陰を惜みて慈悲の
行を千載に傳ふべし。再び曰く、人
の一生は其れ猶ほ一歳の四季の如し。
人の道は永き浮世にみづか□□□末
(※以下断裂)

世に遺せる善悪の施跡いづれ□□□
ることぞなし。己の欲せざる所人に
施す勿れ。亦己の欲するを人に惑す
べからず。悪行小なりとも之を爲すこと
勿れ。亦善行小なりとも爲さざること
勿れ。人の悪を言こと毋れ。己に如
かざる者を友とするべからず。人の志
を奪ふべからず。摘桑耕田畑、廣公
益可、良藥苦於口利於病、加之
忠言逆於耳利於行。如く生きて
世に益無き者は死すとも惜むに足
らず。なればとて之を見降るべからず。
力を以て爭ふべからず。佛に救済
を求べし。茲に無二の法有り、卽ち
(※以下断裂)

□□□なり。過去現在未の三□□
□往来せる諸々の生死輪轉の悟
覚を得て往生□樂うたがえなし。
末法念佛得唱の爲に天竺乃
釋迦牟尼出で佛の救ひに諸
人は西に向いて念佛を唱いて
大古の昔より曹魏天竺三蔵康
僧鎧は西に学び、佛の説ける無
量壽經、姚秦三蔵法師鳩摩
羅什の阿彌陀經にあり。善道大師
布教にて廣まり、日の本の帝もこ
れに詔奉りし。茲に法然上人の布
教にて日本皆淨土の日も迫し。
応永元年三月二十五日
東日流行丘西向院住僧
再筆謹書 西光花押